夏の想
「行ってきます!」


私は、カバンを持つと、ハイカットのスニーカーのかかとを踏みながら、玄関を出る。


そして、つま先を、トントンと、鳴らしながら、家の前にいた琉璃の元へと行った。


「おはよっ!」

私は、琉璃の自転車にまたがった。


そして、右腕で、琉璃のおなかをぎゅっと掴む。


「じゃぁ、出発すんぞー」


「うん!」


そういうと、ゆっくりと、こぎ始めた。


いつもより、ゆっくり走ってくれた。


多分、気遣ってくれたんだと思う。


そして、学校につくと、そっと、右手の薬指に指輪をはめた。


「琉璃っ…これ…」


「左手は使えねーからなっ!俺も、右手。治ったら、左手な!」


そういうと、右手を出した。
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