夏の想
     ヒ     ロ     ―





ヒロが犯人なら―。


もし、それが本当だったら―…。


「ナツぅ、その五人、万引きしてるところが防犯カメラに映ってて捕まったんだって」


「可哀想だね。なんか…」


「そうだね…。そこに、ヒロもいるんだよね…」


「うん。五人って言ってたし」


今は、ヒロに聞けないよ…。


いても、言えない。


犯人探しなんて、もうヤダ。


それでも探しちゃう私って…。何なんだろう。


「あ、そのヘアピンってさ、まぁちゃんも持ってたやつじゃない?」


「うん。オソロでつけてたんだけど…。屋上で見つけてさ」


「え…。じゃぁ、犯人ってさ、まひろの可能性、出てきてない?」


「っ…。ヒロのこと、疑うのはヤダ。でも、これが出てきた以上、絶対に犯人じゃないって言い切れないんだよね」


「私も、まひろのことを疑うのはヤダ。まひろはそんなことしない。ってさっきまで言えてたのにな。今は、言えないや」


「まぁちゃん…。本当なの?嘘だって、言ってほしいね…」


「でも、これが落ちてたのは、その日って決まったわけじゃないし、大丈夫だよ!」
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