夏の想
なんか嫌な予感がした。


「アリサ、私も行く」


「私も行く。アリサ一人じゃなんか不安だもん」


「いいよ。一人で行くから」


そういった瞬間、アリサはベランダに飛び出した。


「バイバイ。ナツ。セナ。皆…」


アリサはベランダの柵の上に座った。


私はベランダに飛び出る。


「来ちゃ駄目だよ?ナツ」


そういいながら、アリサは前を向く。


「隼人…。隼人、ご免ね」


アリサは前を向いている。


けど、泣いてた。


風で涙が風の吹いている方向に飛んでゆく。


ぽろぽろと、何滴も何滴も落ちていく。


「ナツ…。仲良くしてくれて有難う。セナ…、小さい頃から仲良かったよね。有難う。わがまま言ってご免なさい。皆…、大好き」


アリサはゆっくりと目を閉じると、体をゆっくりと前に倒していった。
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