夏の想
私とセナは、一緒にアリサの腕と、腰元をグイッとこっちに引く。


「いやぁ!」


アリサは叫ぶ。


「ヤダよ…。アリサを失いたくない…。大切な人を、失いたくないの」


この下はコンクリート。


落ちたら、多分、死ぬ―。


「アリサっ…」


私は、アリサにギュッと抱きつく。


セナも同じように抱きつく。


「うっ。うっ。ヒック。うわぁぁーーーー!!!」


アリサが泣き叫ぶ。


「アリサぁ」


先生がすぐに来て、アリサは先生と一緒に教室を出て行った。


それからはよく知らない。


「セナ…。アリサ、いなくなっちゃったね」


「そうだね…。アリサは、そんなことしない子だったのになぁ」


セナは笑いながらも、泣いてた。
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