夏の想
「ダーメ!返して?」


私は、ブレスレットを雪ちゃんから取ろうとする。


「ヤダ!雪芽欲しい!」


「お願い、雪ちゃん、返して!」


パシッ


私は勢いあまって雪ちゃんの手を叩いてしまった。


「……………うっ、うわぁぁーーん!」


雪ちゃんは泣き出す。


「どうしたの!?」


「うわぁん!なっちゃんが雪芽の手ぇ叩いたぁ!うぅ。ヒック」


「なっちゃん!?何てことするの!!!」


パンッ


「った…」


ママが私の頬を平手打ち。


「今度はこんなことしないでちょうだい」


ママは雪ちゃんを連れて、私の部屋を出て行く。


カシャンッ


ブレスレットは、静かに床に落ちた―。
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