ボクの中のキミが
どうせ引き受けたとしても、しばらく経って何も分からずに資料だけ返すのがオチだ。

そんなのはカッコ悪い。 
黙り込んで、いろいろと考えている僕を見透かしたかのように、じいさんは僕の肩を叩いて話し始めた。 

「ミステリーや謎の事件は確かに好きなんじゃろ。でも、実際頭は冴えないし、僕なんかがそんな事引き受けられないと、そう思っとんのかい?」

「……その通りだよ、じいさん。」

ほらな、というふうにじいさんはうなずいた。

「哲太、お前は何でもそうじゃろ。ただ、好きなだけと言い訳ばかりしおって。」

「んっ……」
さすがに、じいさんに言い返せなかった。

確かに僕はそうだ。 
須藤さんの事も、ただ好きなだけ。 


「じゃあ、とりあえず資料だけ貸しといてよ。」

溜め息まじりにそう言って、悪戯な笑みを浮かべたじいさんから資料を受けとった。
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