天の涙、太陽の花

「あれーっじゃあさっきのは…何だったんだろ?若い男女がねぇ。あんな大通りで騒いでたんじゃあ、みんなに見られてるよ」
「…嘘」
「俺は嘘はつかないよ?」


見られたというショックにさいなまれいる私をよそに、雨でしけったタバコに拳銃の形をしたライターでひをつけていた。
しかし簡単につくわけもなく、6本目でやっと火が付いた。そして口に咥え、ライターをスーツの内ポケットに入れ一回吸うと、再びこちらに目を向けて話を始めた。

「で、どうしたの、何でフラれたの?」
「……」

何も言わない私に、隆志は溜め息をついて、タバコを指に挟んだ手で髪をかき上げた。
フラれた事は事実。そしてあの現場を見られていた事も事実。
そう思うとだんだんと目頭が熱をもってきて、涙がこぼれた。

「…こんなとこで話も何だし、ちょっと来なよ」

泣き顔を見られまいと顔を隠す私の肩に手を置き、立つように促した。



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