**confection**
「瑠衣斗。松風瑠衣斗。よろしく」
「…るいと……」
そう言って笑ってみたが、彼女は反復するように小さく俺の名前を口の中で繰り返していた。
それにしても、コイツ笑わねーな。愛想笑いすらしねえのか。
パッと見、何か冷めたような冷静そうな瞳は、たれ目のクセに何だか冷たく感じる。
それでも、全てのパーツが整ってるモンだから、確実に可愛いと言うよりも美人の部類に入ると思う。
「あ、私は唯ノ瀬もも。……って…知ってるんだっけ」
ハッとしたように視線を俺に向けた彼女が、自己紹介を俺に向かってした。
でも、名前を名乗った後、彼女はふわりと笑った。
目を細めて、はにかむように笑った彼女に、また胸がドキリと高鳴る。
…な…なんだよ、笑えんじゃねえか
ふわりと優しい笑顔に、何だか顔が熱くなるようだ。
俺、何動揺してんだ?
「よろしくね」
「あ?あぁ…よろしく」
どうしようか。心臓がいてえ。
それに何だか息も苦しい。
うん…。何か俺、病気なんじゃねえ?