**confection**



「瑠衣斗。松風瑠衣斗。よろしく」


「…るいと……」


そう言って笑ってみたが、彼女は反復するように小さく俺の名前を口の中で繰り返していた。



それにしても、コイツ笑わねーな。愛想笑いすらしねえのか。



パッと見、何か冷めたような冷静そうな瞳は、たれ目のクセに何だか冷たく感じる。



それでも、全てのパーツが整ってるモンだから、確実に可愛いと言うよりも美人の部類に入ると思う。



「あ、私は唯ノ瀬もも。……って…知ってるんだっけ」



ハッとしたように視線を俺に向けた彼女が、自己紹介を俺に向かってした。


でも、名前を名乗った後、彼女はふわりと笑った。



目を細めて、はにかむように笑った彼女に、また胸がドキリと高鳴る。




…な…なんだよ、笑えんじゃねえか




ふわりと優しい笑顔に、何だか顔が熱くなるようだ。



俺、何動揺してんだ?






「よろしくね」


「あ?あぁ…よろしく」




どうしようか。心臓がいてえ。


それに何だか息も苦しい。



うん…。何か俺、病気なんじゃねえ?
< 10 / 249 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop