**confection**
別に何の事もないフレーズ。
きっと普通に会話なんかしていれば、誰も何も思わないであろう。
でも俺には、その瞳が揺れるように変化した事に気付いてしまった。
「もも…?」
「えっ?」
俺の問い掛けに、ハッとしたように反応したももが、はにかむように表情を作る。
ずっと気になっていた事。
ずっと気になっていた表情。
何でそんなにも、遠くをみるような目ェしてんの?
「あっ、ここ!!ここ入ってみようよ」
「ん?あ、うん…」
気になるけども、ここはあえて気付かない振りでもしておこう。
繋がれたままの手を、ももが何の気なしにグイグイと引っ張る。
そんなに引っ張らなくても…。
なんて思いながらも、次の瞬間には嬉しい自分。
痛い。痛すぎるぞ自分。
気になる事はあるものの、今は何も言わずにいよう。
てゆーか、むやみに突っ込んでくのもな。
自分の手の内に余裕で収まってしまう、この小さな手を、ギュッと握り込んだ。
周りから見たら、カップルなんかに見えてんのかな〜。
やっぱり俺は、ももからしたら安全パイなんだろうな。。
そんな事を考えながら、ももと2人で一見雑貨屋に見える店内へと足を踏み入れた。
胸が切なく苦しくなるのを無視して、グッと頬に力を入れた。