**confection**
まさかの提案と、まさかまさかの展開。
嬉しくない…ワケねえ。
まじか。まじかよ。
まじかー!!!!
ももからまさか誘われるなんて思ってもみなくて、嬉しさに飛び上がりたくなる。
でもそんな事できる訳がないので、頭の中で小さくガッツポーズ。
内心、もう解散かな〜なんて思っていたせいもあって、まだももと一緒に居れると思うと、嬉しさに頬が緩みそうになる。
ん?…でも待てよ…ううーん……。
そこで俺は、ふと気になった事を口にする。
本音なら、そんなモン気になんてしたくないんだけど。
でもそんな強行には出れない、チキンな俺。
「門限とか大丈夫なのか?俺は全然問題ねえけど、家は?」
一応、ももは親と一緒に住んでるワケだし。
一言連絡を入れておかなくても大丈夫なのか、心配になる。
ももがどんな家庭でどんな風に過ごしているのかも分からないけれど、これくらい考えるのが普通だろう。
「え…?あ、うん。大丈夫!!」
そう答えたももが、一瞬強張った顔をしたのを俺は見逃さなかった。
見逃してしまいそうな程、本当に一瞬の事だったので、見間違いとも思えた。
でも、それは見間違いでも何もない。
そこに触れていいのかさえ、俺には判断もできなかった。
と言うよりも、ももが何の気もないように笑ってみせるので、俺は承諾しざるを得なかった。
「そう…か?でも連絡ぐらい…」
「いーの!!小学生じゃあるまいし」
そう言われればそうなんだけど…。
「ならまあ、それならいいけど」
「うん。じゃー行こう」
そして再び、並んで歩き出す。
結局、そんな心配もあっと言う間に吹き飛んで、今のこの瞬間だけに頭が一杯になってしまうのだった。