**confection**
「別に…いいけど……ちゃんは…」
可愛すぎるだろう。
今まで、近所のおばちゃんやおじちゃん、ツレや先輩後輩でさえ“ちゃん”付けで呼ばれた事なんてねえ。
「分かった!!るぅね」
「う?うん…」
今までにねぇ呼び名だなあ…。
ニッコリ笑うももは、本当に笑顔が良く似合う。
周りを明るくするような雰囲気と、実は喋ってみたら話しやすかったり。
本性はどっちだ?
さっきまでの雰囲気がどうしても気になり、目の前で笑うももの笑顔の裏を覗き見ようとしても、見える筈もない。
「身長いくつあんの?」
「へ?身長…14…6センチぐらい?」
「146!?だはっ、ちっちぇ!!」
俺と間違いなく30センチ以上差があるじゃねえか!!
あ〜…やべえ。小動物かよ。
何でんなちっちぇーんだよ。
クスクス笑う俺に対して、ももが静かな事に気付き、笑いを引っ込めて顔を上げた。
「…え?どうしたの?」
「笑いすぎっ」
ももはふてくされたように唇を尖らせ、頬を赤く染めている。
「あ、ゴメンゴメン」
「気持ちがこもってない」
何なんだよ〜。んな反応すんなよ。
もっとイジメたくなるだろ。
「わりぃ〜わりぃ〜」
「るぅって性格悪いでしょ。初対面なのに」
「いやそこ性格と初対面関係なくね?」
そんなやり取りから始まった、お友達関係。
さっきの胸の高鳴る理由に気付くのは、もう少し先の話。