**confection**
「ところで松風さん!!」
「え?」
グイッと顔を近付けてきた勇磨に、思わず後退りする…が、ソファーに背中をベッタリと付けていたせいで、後退りなんてできなかった。
やっぱりこうして見ると、ますます姉弟なんだなあ…なんてしみじみ思う。
好奇心いっぱいの瞳が、俺をキラキラとした目で捕らえている。
ももとももの両親の事が気になって仕方なかったが、とりあえず勇磨に耳を傾けておく事にした。
少し気持ちを落ち着かせようと、テーブルに置かれたマグに手を伸ばし、口を付けた。
「ねーちゃんの事…好きなんですか?」
「っ!!げほっ!!」
「え、ビンゴ?」
「っな、え!?ちょ、ちょっと落ち着け!!」
「いえ…松風さんが落ち着いて下さい」
ポツリポツリと囁く程度に語られた話に、思い切り俺はむせかえった。
こうも簡単に自分の気持ちを言い当てられ、情けない事に自爆してしまったのだ。
「俺、松風さんみたいなお兄さんなら、大歓迎です」
「いや…え〜…っとだな?」
「だから頑張って下さい!!」
そんな言葉と共に差し出された、親指を立てたグーサイン。
う、うん…頼もしい見方ができた訳だ。
てゆーか、ひょっとして俺、年下に遊ばれてねえか!?
「あの化石人間のオヤジも、松風さんの事気に入ってると思いますし」
「そう…なのか?」
だとすれば、それはそれでかなり嬉しい…んだけど。
「オヤジの笑顔…久しぶりに見ました」
「………。」
実はその笑顔、本心の裏返し…だったりしないよね?あは。