**confection**




きちんと敬語も使えて、その上道理もちゃんとわきまえている。


高校生ですら、敬語の使い方も分からないような奴らばかりなのに。


対して、そんな勇磨を気に入ったのは間違いなかった。


それに、自分の弟のように思えてならなかった。



「え!!本当ですか!!俺ちょー感激なんですけどお!!」



「感激…するほどか?」



「します!!あ…、する!!」



「…そうか」



素直な反応に、思わず笑いが漏れる。

ももと性格は似てないな、なんて思っていたけど、こんなにも良い所がソックリなんて。



嬉しそうに笑う勇磨は、本当に心底嬉しそうな満面の笑顔で俺を見る。



「次いつ遊びに来る?え〜っと…るぅ??」



「早速次の約束かよ」



なんだかやけに気に入られたみたいで、嬉しくない訳がない。


知り合いなんて、もも達ぐらいしか居ないこの土地で、こうして接してくれる存在に、素直に喜びを感じる。



なんだか壁を隔てたように、綺麗に2つに別れてしまった空間ではあるが、人の存在が暖かかった。



「それにしても…今日はくどいなあ」



「…くどい?」



「うちの親。さすがにねーちゃんも爆発寸前だろうなあ」




なにやらまだ続く会話は、相変わらずだった。


俺から何か声を掛けるのも変だし…とは思ったが、なんだかももがいたたまれなかった。


きっと、誰よりも努力をしてなきゃ、あんな成績簡単に取れる訳がない。


認められるだけでも、気分は違うのに。



「あの…そろそろ失礼します」



そんな言葉でしか、俺は会話を止める事しかできないんだ。



「えー!!もう帰っちゃうの!?俺話足りないよー!!」



そんな勇磨のセリフは、なんだか俺に合わせてくれているようにも感じた。
< 125 / 249 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop