**confection**
きちんと敬語も使えて、その上道理もちゃんとわきまえている。
高校生ですら、敬語の使い方も分からないような奴らばかりなのに。
対して、そんな勇磨を気に入ったのは間違いなかった。
それに、自分の弟のように思えてならなかった。
「え!!本当ですか!!俺ちょー感激なんですけどお!!」
「感激…するほどか?」
「します!!あ…、する!!」
「…そうか」
素直な反応に、思わず笑いが漏れる。
ももと性格は似てないな、なんて思っていたけど、こんなにも良い所がソックリなんて。
嬉しそうに笑う勇磨は、本当に心底嬉しそうな満面の笑顔で俺を見る。
「次いつ遊びに来る?え〜っと…るぅ??」
「早速次の約束かよ」
なんだかやけに気に入られたみたいで、嬉しくない訳がない。
知り合いなんて、もも達ぐらいしか居ないこの土地で、こうして接してくれる存在に、素直に喜びを感じる。
なんだか壁を隔てたように、綺麗に2つに別れてしまった空間ではあるが、人の存在が暖かかった。
「それにしても…今日はくどいなあ」
「…くどい?」
「うちの親。さすがにねーちゃんも爆発寸前だろうなあ」
なにやらまだ続く会話は、相変わらずだった。
俺から何か声を掛けるのも変だし…とは思ったが、なんだかももがいたたまれなかった。
きっと、誰よりも努力をしてなきゃ、あんな成績簡単に取れる訳がない。
認められるだけでも、気分は違うのに。
「あの…そろそろ失礼します」
そんな言葉でしか、俺は会話を止める事しかできないんだ。
「えー!!もう帰っちゃうの!?俺話足りないよー!!」
そんな勇磨のセリフは、なんだか俺に合わせてくれているようにも感じた。