**confection**
a crank
「お〜い、席に着け〜」
ガラリと開いた扉の音と、まだ若いであろうが低い声に、教室内がシンとした。
コイツが担任か?わけーなぁ。
体はももに向けたまま、扉を閉めて教壇へと歩む人物に顔だけを向けた。
ガタガタと席へと戻る生徒を眺めると、一つの席に視線を止めた。
「ん?そこの席は〜…神崎…か、誰か知らないか?」
視線を移した先には、投げ出された鞄は見当たるが確かに人が居ない。
「あ〜…その内帰って来ると思うんだけど…」
何だか頭がふわふわした、見た目だけで“イイヒト”に見える男子がそう答えた。
すると、タイミングを見計らったようにガラガラと閉められた扉が開かれた。
「宗太ー!!うおっ!!び、びびったあ!!」
大声でニコニコそんな事を言って入ってきた人物は、さっきの大阪人(仮)だった。
そんな大阪人(仮)に対して、クスクスと笑いが漏れている。
担任は呆れたような顔をしているが、クラス中の雰囲気が柔らかくなったように感じた。
「びびったじゃない。早く座れ」
「はーい、すんまへーん」
見た目はめちゃくちゃ整ってんのに、何だか残念だ。
大人しく席へと座った事を確認すると、改まるようにして担任が口を開いた。