**confection**
朝日…いや、昼の日差しが目にしみる。
自然しかめっ面になってしまう程、眩しい光に脳が刺激される。
最近深く眠れていないせいか、そんな眩しさが眩暈を起こしているような錯覚すらしてしまう程、疲れが取れていないようだ。
家まで迎えに行くと言う俺を遮り、ももとは中間地点であるバス停で待ち合わせをした。
ベンチに腰掛けると、両手を投げ出すようにして広げ、顔を真上に上げて目を閉じた。
閉じた瞼の裏が、赤く燃える。
微かに頭の奥が、締め付けられるように痛む。
比較的、宗太の家までは遠い距離ではないが、歩いて行けば結構な時間を掛けてしまう所にある。
それは、ももが相手だから…と言う訳で。
自分1人なら、大した距離ではないんだけれども。
「おはよー…寝てるかと思った」
「はよ。起きてるし」
背後から掛けられた甘い声に、頭だけで振り返る。
覗き込むようにして屈んでいたせいか、予想以上に至近距離だったせいでドキリとする。
うっ。朝から…いや、昼から俺の心臓に悪いドアップ……。
そんな俺になんて全く気付かないまま、不思議そうにキョトンとしたももに、溜め息を吐きたくなるのを我慢した。
「ちゃんと寝れた?」
「ん?あ〜…うん」
隣に座りながら言うももの言葉に、濁すように返事を返す。
この瞳に見つめられると、嘘なんかつけないように思えてしまう。
何だか心の中すべてを、見透かされてしまうような気がしてしまうんだ。
「寝不足です。って顔してるけど」
「…そうか?何で分かるんだよ」
「なんか顔が疲れてるから」
そんな顔してんのか、俺。
そう思うと、自然と自嘲的な笑いが漏れた。