**confection**
バスを降り、宗太の家まで並んで歩く。
毎週毎週、こうも飽きずにいつものメンバーと、宗太の家で集合する。
それは自動的に、今日も。
学校帰りでもあれば、休みの日も。
みんなで課題なんかを片付けたり、ご飯を作ったり。
なんの約束もしないまま、自然と集まるメンバー。
そんな生活を、心地良く感じている自分が居た。
なにをする訳でもなく、必ず宗太の家には誰かが居るんだ。
「今日も龍雅のゲームの相手させられんのかな」
「うん、そうだろうね」
なんだかやけにご機嫌そうなももの口振りに、疑問が浮かぶ。
いつもと変わらない道のり。
いつも行く場所。
なにがそんなにももを笑顔にさせるんだ?
今までと違う事と言えば…お互いの家を初めて知った。そして、俺は初めてももの家族と会った。
それくらいだ。
チラリと見下ろした横顔は、やっぱりなんだか口元が緩んでいる。
……なんだ。なんなんだ。
宗太の家に行く事が、そんなに嬉しくなる理由でもあるのか?
え?まさか龍雅?いや…宗太?宗太にでも惚れたのか!?
鼻歌でも唄いながら、スキップでもしだしてしまいそうな程の雰囲気に、内心怖くなる。
言いようのない不安と、恐怖。
理由も分からないから、なんて切り出せばいいのかも分からない。
勝手な妄想であってほしい…てゆーかそうに決まってる。
だから大丈夫だ!!
なんて、なにがどう大丈夫なのか自分で自分に突っ込みながらも、ももと並んで宗太の家までやって来ていた。