**confection**
「えーっと、今日からお前たちの担任になる家田司だ。28歳独身!!よろしくな」
イエダツカサ…顔はまあ…整ってる方。愛嬌のある笑顔に、頭ごなしに厳しいヤツよりは全然ましだと思った。
サラサラしてそうな黒髪の短髪に、ピシッと着こなしたスーツが大人の男って感じだ。
ふと隣に座るももに視線を移し、そのままじっと見つめてしまった。
何でそんな……感情も感じ取られねえ顔してんだ?
顔は教壇の方に向かっているのに、目線は直ぐに下ろされていた。
でも、その姿が何故か綺麗で、胸がドキドキと高鳴りだしていた。
「とりあえず!!今から体育館で全校集会だ。はいっ、廊下に並べ〜」
突然掛けられた言葉に、ガタガタと席を立つ音が教室内に響く。
あー…めんどくせっ。
げんなりとした気分になり、思わず机へと突っ伏した。
ザワザワする声は、教室内だけではなく、廊下からも聞こえてくるようだ。
「行かないの?」
頭上から降ってきた声に、顔を跳ね上げた。
「ん?あ、あぁ…行く」
「そ。じゃあね」
フッと笑って見せたももは、そのまま俺に背を向けて廊下へと向かって行った。
そんな姿を見送りながらも、教室内に自分しか残っていない事にやっと気付き、慌てて廊下に飛び出した。