**confection**
正直、こんなに盛大に誕生日を祝ってもらうなんて、ここ数年じゃ考えもしなかった事だ。
それなりに祝いの言葉を掛けられたり、仲間内で飲んだり、中には仲の良い奴なんかからプレゼントも貰ったりもした。
でも、まさかこんな誕生日会みたいなモンは、せいぜい小学生までかと思っていたから。
「今日は主役だろう!?まあ飲め!!」
「飲めって…」
「なんだね君は。今更優等生ぶるのかね?」
なだねってのはお前だよ。
って言葉は飲み込んでおいて。
「…まだ昼だぞ?」
「ってそこかーい!!お約束のようにそこかーい!!」
こうして集まる時に、何度か飲み会になった時があった。
高校生だからどうとか言う奴も居ないし、なによりも宗太の家が放任主義ってのもあったのだろう。
龍雅にいたっては、両親と毎晩のように晩酌なんかしているみたいだし。
なによりも、一番真面目そうな俊が、誰よりもハイペースな上ザルと言う事に、誰もが驚いていた。
なんとなく初めは抵抗があったと言うのが本音だったが、ももや美春も何も言わずに楽しんでいる辺り、やっぱり高校生ってこんなモンか。なんて思う事にした。
うちは元々放任だったし、なによりも上の兄姉の友達とかにも飲まされていたから、余計に何とも思わないんだけど。
誕生日、と言っても、飾り付けがしてあったりだとか、豪華な料理が並べられている訳ではない。
いつものように、多分みんなで作ったであろう料理に、つまみ程度だ。
多分…俺の誕生日にかこつけて、飲みたかっただけなんだろうけど………龍雅が。
進められるがまま、お酒を空けていたせいか、程良く酔いが回る。
たいしてお酒には強い訳でもなく、多分普通な俺には、今ぐらいが一番気持ちが良い。
「なんだよ、もうみんな飲まないの?」
そんな事を言っちゃう奴は、やっぱり俊だった。