**confection**
なんだか物凄く、気持ちが良い。
重石を乗せたように、ずっしりと重かった気持ちが、徐々に解されていくようで。
優しく頭を撫でてくれる感触に、胸がポカポカと暖かくなる。
甘い香りに、ももの顔が思い浮かぶ。
なんだ、この手はももか……。
ももの手が遠ざかると、優しくももが微笑みかけてくる。
その顔に、たまらず手を伸ばす。
でも何故か、届きそうで届かない、なんとももどかしい距離。
好きって伝えたいのに。
今すぐ腕の中に閉じ込めて、ももが苦しいって言う程抱きしめたいのに。
なのに、届かない。
切なさが胸を支配して、いっぱいになる。
なんだよ。好きも言えないのかよ。
どうして言えないんだよ。
気持ちすら伝えられないのか……?
「るぅ?」
いまだ微笑みかけていたももが、名前を呼ぶ。
でもそれは、なんだかやけにリアルで、再び名前を呼ばれる頃には、眩しい光が視界いっぱいに広がっていた。
「るぅ、そろそろ起きないと、夜眠れないよ?」
「………。」
あれ?ここは……って、夢?
「るぅ寝ぼけてるの?」
「………。」
ももに真上からのぞき込まれる体勢に、状況が処理できずに固まる。
なん…で……もも?
………夢…?ん?
ゆっくりと徐々に解凍していく頭が、意識をハッキリとさせていく。
甘い香りに、夢の中のももが被った。
って………え!?
な、なんで!?まさか、俺…俺か!?