**confection**
体育館へ向かうまでの間、俺はももが気になって仕方なかった。
流れに任せられるがまま、もちろん体育館なんて場所も分からない自分は、気がつくと体育館にきちんと居た。
そんな中、やっぱりももが気になってしまう自分は、周りをそっと見渡す。
前…には居ない。後ろか?……あ、そいやー名簿順だった。
前後を男子に挟まれているようで、全く姿も確認できない。
この学年は、男子がごく僅かに女子よりも多い。でも何故か、このクラスは他のクラスよりも男子が多いようだ。
そんなに気にする事もないはずなのに、ももが気になってしまう。
きっと、初めて話したヤツだからだろうな。
なんて考えながらも、やっぱり気になって仕方がない。
校長や生徒会の話なんて聞きてーヤツなんか居るのか?
ズボンに両手を突っ込みながら、気だるい体にムチ打ちながらも舞台に視線を向けた。
相変わらず向けられる視線の意味が分からないが、もう気にもならなかった。
あ〜…ねみい……。
一つ大きな欠伸をすると、目の前が涙で滲む。
周りには真新しい制服をきちんと着込んだ奴らばかりで、ずっと向こう側に上級生の姿を発見した。
しっかりと着崩して着る先輩から、しっかりと見本のように制服を着た先輩とハッキリと別れていた。
時折先生によって注意を受けたりしているので、進学校と言えども水と油で分けたような光景に何の気もなくじっと眺めた。
これからの出逢いは、俺の人生にもでかい影響を与えるだろう。
でもそれは、ただの人間関係に限ってだ。
恋なんてした事もない。ただ、この先一生つるむような人間関係ができるだけだと思っていた。
自分の信念や夢まで曲げてまで、人には深入りしない。
だから恋なんてする気もなければしたいとも思わない。
それに、人を好きになるとかいまいち分からない。
地元のツレは、気兼ねもなく連むことができて好きだ。
そう言う事じゃねえのか?
考えても、やっぱり今の俺にはさっぱり分からなかった。