**confection**
「だから安心してもいいだろうけど、ライバルは絶えないだろうな」
「…だろうな」
イガグリヤローには悪いが……気持ちがスゥッと晴れて、なんだか清々しくも感じる。
安心…安堵したと言うのだろうか。
こんなにも根回し?をしていた宗太にも感謝だが、なによりもイガグリヤローに取られてしまうんじゃないか…と内心思っていた俺は、心の底から溜め息を吐き出していた。
「あとはまあ…ももが何悩んでるのかだなー。ありゃストレス溜めて潰れるタイプだな」
宗太の言葉に、ふとある事が脳裏に過ぎる。
直感的ではあったが、なんとなく…そんな気がしたからだ。
「ちょっと気になる事があるんだけど…」
「ん?」
「昨日、ももの家に行って」
「お〜。やるなあ〜」
「いやちがくて…なんか流されてお邪魔する事になって…ってんな事どうでもいーんだよ」
ダメだ。宗太の前だといつもより喋りすぎる。
てゆーか、このマイペースなおっとりした雰囲気が、俺を無防備にさせて口を軽くするんだ。
「んで?」
「んで…まあ、両親なんだけど…こんな事言うのもどうかと思うんだが…ももは2人が嫌いなのかなって」
俺らの年代で、反抗期なんて当たり前にあるしむしろ普通。
だからきっと、ももだって反抗期なんじゃ…とは一瞬思ったりもしたけれど、そうではない気がしたんだ。
「なるほどな…」
そんな俺の言葉も必要なく、宗太には俺の胸の内なんて伝わったようだ。
俺が感じた違和感。
きっと、間違いではないような気がした。