**confection**
uneasiness
「とりあえず、俺らが口出しするような話じゃない事は確かだな」
「……そうだな」
本人から聞かされれば…何か少しでも、信号を出してでもくれれば。
正確には言えないし、ましてや俺の勝手な憶測にすぎない。
だからこそ、傍にいて見守る事を今はするしかないんだ。
「ま、この話は終わりだ」
「え?」
あっさりと話を打ち切る宗太に、一瞬呆気にとられてしまう。
そんな俺をよそに、次の瞬間には柔らかい笑みを浮かべた。
「帰ってきた」
「は?」
俺が返事をしたのと同時に、ガチャリと開けられた部屋の扉。
思わず弾かれるようにして顔を向けると、そこにはももが立っていた。
「ただいま〜…」
「お帰り」
ももに返事を普通に返す宗太を、思わずまじまじと見てしまう。
さっきまで、あんなデリケートな話をしてたのに……どんな神経してんだろ。
きっと、回路なんていくつも選択肢があって、その都度状況を判断して適応させてるのだろうか。
そんな事を考え、宗太ならあり得るな…なんて納得してしまうから怖い。
「電話家から?大丈夫か?」
「え…?あ、うん大丈夫」
事の成り行きを見守る事しかできずに、口を挟む余裕なんてなかった。
と言うか、一瞬曇ったようにも感じたももの表情に、きっと宗太も気付いたに違いない。
「ね、そろそろみんな起こそうよ」
「そ〜だな〜。時間も時間だしな」
時計を見ると、時刻は18時を回った所だ。
さすがにこれ以上寝かせておけば、体内時計は簡単にズレてしまうだろう。
宗太が立ち上がり、ももに並んで寝ているメンバーを起にかかる。
俺も一緒に加わろうかとも思ったが、大して人数はいらないと思い様子を見守った。