**confection**

uneasiness






「とりあえず、俺らが口出しするような話じゃない事は確かだな」



「……そうだな」



本人から聞かされれば…何か少しでも、信号を出してでもくれれば。


正確には言えないし、ましてや俺の勝手な憶測にすぎない。


だからこそ、傍にいて見守る事を今はするしかないんだ。



「ま、この話は終わりだ」



「え?」



あっさりと話を打ち切る宗太に、一瞬呆気にとられてしまう。


そんな俺をよそに、次の瞬間には柔らかい笑みを浮かべた。



「帰ってきた」



「は?」



俺が返事をしたのと同時に、ガチャリと開けられた部屋の扉。


思わず弾かれるようにして顔を向けると、そこにはももが立っていた。



「ただいま〜…」



「お帰り」



ももに返事を普通に返す宗太を、思わずまじまじと見てしまう。



さっきまで、あんなデリケートな話をしてたのに……どんな神経してんだろ。


きっと、回路なんていくつも選択肢があって、その都度状況を判断して適応させてるのだろうか。



そんな事を考え、宗太ならあり得るな…なんて納得してしまうから怖い。



「電話家から?大丈夫か?」



「え…?あ、うん大丈夫」



事の成り行きを見守る事しかできずに、口を挟む余裕なんてなかった。


と言うか、一瞬曇ったようにも感じたももの表情に、きっと宗太も気付いたに違いない。



「ね、そろそろみんな起こそうよ」



「そ〜だな〜。時間も時間だしな」



時計を見ると、時刻は18時を回った所だ。

さすがにこれ以上寝かせておけば、体内時計は簡単にズレてしまうだろう。



宗太が立ち上がり、ももに並んで寝ているメンバーを起にかかる。


俺も一緒に加わろうかとも思ったが、大して人数はいらないと思い様子を見守った。
< 154 / 249 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop