**confection**
本当に、いつの間に用意しておいてくれたんだろう。
龍雅達からのプレゼントは、なんだか予想するのも面倒なので考えないでおく。
自分の為に時間を使ってくれたとか、自分の事を考えながらプレゼントを選んでくれたとか、その気持ちが何よりも嬉しい。
形や物なんかではない、その気持ち。
そんな気持ちごとプレゼントされたようで、何とも言えない幸福感が俺を包み込んでいた。
「じゃあ〜…私、そろそろ帰らなきゃ」
「もう帰るのか?」
宗太の声に、ももが苦笑いする。
途端に何とも言えない感情が俺を襲ってきて、そんな気持ちが顔に出てしまうんじゃないかなんて思う。
「るぅにもプレゼント渡せたし…さっきの電話でね、お母さんがもうすぐ迎えに来るはずだから」
「そうかー。ま、それは仕方ないな」
なんとなく、本当になんとなく。
ももが帰りたくなさそうに、表情を一瞬曇らせた気がした。
「もも帰っちゃうかあ…女の子美春1人になっちゃうじゃん」
「俊ちゃんが居るでしょう?それに今更でしょう」
美春が残念そうに言うが、ももがそれに対して笑って答える。
そんな会話に交わる事もできずに、俺はただ事の成り行きを見守るしかできなかった。
胸が切なくて、苦しい。引き止める事ができるのなら、今すぐ引き止めてしまいたい。
でも、そんな事はできない。
「はあ…やだな……まだ居たい」
「ももの分まで飲んどいてやるぜーい!!」
「むっ…なんか龍雅やたらムカつく」
ポツリと言ったももの言葉が、やけに胸に染みる。
何だろう、別にそんなに気にする事なんかじゃないのに。
胸がモヤモヤして、どうしようもなかった。