**confection**
lovesick
しばらくすると、迎えが来たようにももの携帯が鳴り、美春と共にももが立ち上がる。
「外まで送る!!久しぶりにおばさんに挨拶しときたいし!!」
「ありがと。お母さん喜ぶよ」
そんな会話に、一緒に俺も挨拶をしておいた方がいいのか悩んでいると、元気良く龍雅が立ち上がる。
思わずまさかと思いギョッとして見つめていると、ニヤリと笑った龍雅が予想通りのセリフを吐き出す。
「俺も挨拶しといてやろう!!さあ行こう!!」
「え…別にいいよ…」
「なんならみんなで挨拶しに行こうではないか!!」
「……余計いい」
ちょっと…いや、だいぶ迷惑そうに、ポツリとももが言う。
そりゃそうだよな。こんな大人数で押し掛けても、かえってもものおばさんが迷惑なだけな気がする。
でもやっぱり、一言挨拶がしたいという気持ちが沸き上がってくる。
「まーまー。この際挨拶しといてもいいんじゃない?その方が、今後おばさんも安心するだろうし」
「え…?あ…まあ」
「俺もそう思うぞ?一応、俺らまだ高校生だし。親だって心配して当たり前だろう?」
俊の言葉に、付け足すように言った宗太の言葉には、俺も賛成だ。
酒、煙草はしてるが……挨拶する事で、ももの親からも安心されるんじゃないかと思ったんだ。
こうして迎えにまで来る辺り、心配しているに違いないだろうし。
「そうだよお!!そしたらきっと、おばさんだって安心するだろうし、何にも言わなくなるよ!!」
「うん…そうだね」
渋々と言ったように、美春の言葉に頷いたもも。
でも俺には、美春の言葉がなんだか引っ掛かった。