**confection**
賑やかに飛び込んできた女生徒に、一斉に視線が向けられた。
「……あれ〜…えっと〜もものお友達?」
「え?えーと……クラスメート?」
近くまで来たももの友達らしい女生徒が、戸惑うように俺達に視線を向けている。
「君!!君も一緒にご飯しないかい!?」
「ご飯!?行く!!」
ご飯と言うフレーズにやたらと反応したように見えた女生徒は、目をキラキラさせて大阪人(仮)を見上げた。
逆にももは、えっ…と言うような顔で大阪人(仮)を見上げている。
まあ…別にいいか。ここで親睦を深めても何も損はねえだろ。
何だか会話に混ざれていない、龍雅と背のさほど変わらない男子に、何の気なしに声をかける。
「…行くだろう?」
「あ…おう…」
そんな俺達に、向けられていた視線になんて、今は全く気が付かなかった。
まあ、俺宛じゃねえから尚更だけど。
「おーし!!とりあえず行くぞー!!」
「おーっ!!ほらっ、もも行こうよ!!」
「あ…あう…うん」
やたらとテンションの高い二人に気負けしながら、連れたって教室を出た。
こんな事になるなんて予想もしていなかった。
でも何だか、胸が高鳴る感じがしている自分が居た。
名前もロクに知らない者同士なのに、何だか居心地が良かった。
独特な都会の視線が嫌いだった。
でもここには、そんなモノが一切存在しない。
友達らしい女生徒と笑顔で話すももに、何故か俺の視線は奪われていた。