**confection**
「ねえ、みんな同じクラスなの?あ!!私は4組の美春ねー!!種村美春です!!ももとは、小学校からの幼なじみでーす!!」
やって来た場所は、どこにでもあるようなファミレスだ。
案内された席は窓際で、暖かい陽射しが気持ち良い。
簡単な自己紹介を自らした美春は、ニコニコと笑って見せた。
そして、そこに自分の名前が入っていたももが、おずおずと口を開く。
「唯ノ瀬です……あ、ももです。よろしく…」
「ヨロシクー!!!!」
コイツ(龍雅)は、口から生まれたに違いない。
広い席へと案内されて、何故か俺は美春とももと並んで席に座らせられてしまった。
目の前には、大阪人(仮)。
隣のももは、どこに視線を向けたらいいのか分からない。と言った様子だ。
「はいはーい!!そう!!みんな一緒!!俺は神崎龍雅〜!!こっちは寺岸宗太〜!!」
「…あ〜…どうも」
若干押され気味の宗太は、呆れたように龍雅に視線を向けるが、諦めたように視線を落とす。
「……え、俺?」
肘で、宗太と龍雅の間に居るやたら大人しい男を、龍雅がつつく。
……絡まれてたヤツだ。
「とりあえず行っとけ〜!!」
「…どこに……」
……違うだろ。抜けすぎだろ。
「かってぇなあ〜!!自己紹介だよおー!!」
「…あぁ〜、えーと、篠山俊です。よろしく」
龍雅とはまたタイプの違う、真面目そうな感じとどこか抜けた感じが、何だか俺のツボかもしれない。
そんな俊の様子を、ポワンと夢見心地のように見つめている人物の事なんて、今の俺は一切気が付かなかった。