**confection**




はあ、と溜め息を吐き出し、目の前の真っ暗な画面を見つめる。


スイッチも入れないまま、テレビの冷たい画面をぼんやりと見つめていた。


なんだか頭の中が、沸騰しているように様々な事がふつふつと沸いては消える。


そんな事を繰り返しながら、無意味な時間が過ぎていくようだ。




その時、何度目かの溜め息を吐きかけた瞬間、突如鈍いバイブの音に溜め息を飲み込んだ。


制服すら着替えずにいた俺は、そのままブレザーのジャケットに手を突っ込んだ。



「…もしもーし」



電話の相手を確認する事さえ忘れたまま、携帯を耳に当てる。


意識がぼんやりとしていたままだった俺は、そんな電話の相手の声に身を固めた。



「たまには連絡しろとあれだけ言っただろう」



「…け…っ」




うげっ。……慶兄。



その相手の主は、俺の天敵。鬼畜兄貴だった。


顔が可笑しい程ひきつり、言葉に困る。


と言うか、良い言い訳を考えるのに必死だ。



「け?けって何だ」



「け…あ、ううん」



「…まあいい。今から行く」



「……はあ!?ちょっとま…ってオイ!!切れてんじゃん!!」



俺の必死の叫びも空しく、あっさりと通話は終了されている。


ガックリとうなだれた後、ようやく何度目かの溜め息を吐き出した。



なんだよ〜。

わざとか?わざと狙ってんのか?

こんな時に説教なんて、拷問じゃねえか……。



諦めの悪い俺は、それからしばらくして響いてきたチャイムに、思わず耳を塞いだ。
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