**confection**
「…龍雅が怒るのも、無理ないぞ」
隣からは、宗太の穏やかな声。
思わず龍雅から視線を外し、視線を下向きにしたまま口元だけで笑った。
同情はもうこりごり。
そんなモン、誰もしてほしいなんて頼んでない。
陰で話をしたけりゃすればいい。
でも、どう接すればいいか、何を話せばいいか分からないような態度は、正直キツい。
無理もないかもしれない。
でも、いつもの日常が、全く違う別物になってしまった日常は、俺を責め立てる何物でもない。
変わってしまった両親を、嫌と言う程見てきた。
俺を責めない家族に、何度も心の中で謝り続けた。
離れて行った友人に、俺はホッとした。
でも。
「1人で勝手に決め付けんな。俺はそれでもお前から離れてやんねーからな!!ぜってーいつか意地でも告らせてやる!!」
こうして、変わらず離れず接してくれる奴らに、心の底から救われたんだ。
「変わりに夢叶えてやりたいんだろ?じゃあ代わりに恋愛もしなきゃダメじゃん」
「間違いないじゃん!!てゆーか、るぅちゃんの青春時代に、恋とか無いとかちょー根暗じゃん!!オタク!?」
「いや…オタクにはなりたくないけど……」
俊の言葉に、美春が被せてヒドい事を言う。
なぜ根暗やオタクなのかは、なんとな〜くニュアンス的には理解できたが、俺は決して根暗でもオタクでもないはずだ。
それに、オタクはオタクでその別の世界でハマる物があったりとかで……恋とは違うけど、情熱を持ってるワケで…てゆうか、別にどーでもいい。
「とりあえず、こう考えてみろよ。るぅの弟が、ももと引き合わせてくれた。それって運命的じゃないか?」
そんな宗太の言葉に、思わず目を見開いた。
"ここで運命の出会いをするぜ"
そう書かれた、パンフレットを思い出した。