**confection**
「あのさ…」
そんな中、ポツリと俊が口を開く。
いつもに増して、真剣な眼差しに視線を逸らしたくなる。
何だか目が合っているだけでも、気後れしてしまい、俊に言われる言葉を聞いてはいけないような気がしてしまう。
その言葉に、自分の気持ちをぐちゃぐちゃにされてしまいそうで。
「それを、るぅの弟は望んだのか…?恋愛する資格がないなんて、言われた?」
ほれ来た。
やっぱ、聞くんじゃなかった。
「そんなの…とっくに分かってる」
「じゃあなんでだ?俺には、るぅが弟を言い訳にしてるようにしか思えない」
胸が一気に苦しくなった。
全部、心の中まで見られている気分だ。
俺の意気地のない気持ちに、十分なダメージを与える言葉だった。
確かに俺は、言い訳にしているのかもしれないな……。
そのせいにして、傷付くのが怖いんだ。
こいつらは離れたりしないかもしれない。
態度だって、変わったりもしない。
でも、ももは違うかもしれないんだ。
そう思うと、気持ちをいつの間にか決めかねるようになった。
俺は、ズルくて卑怯だ。
「まあまあ、るぅにもいろいろと思う事があるんだろ!!」
「そうだとは思う。でも、るぅはその弟の代わりじゃないだろ」
「う…うん…ま、そうなんだけど…」
俊の言葉に、珍しく龍雅が怯む。
誰もが俺の事を想い、俺のためにこんなにも真剣になってくれている。
あいつの代わりじゃない……。
そんな言葉に、一瞬頭の中がクリアになった。