**confection**
こちらからは俊の表情は伺えないが、美春の表情からしてありゃー惚れたな。
なんて勝手に?自己完結させると、前に向き直った。
何かよく分かんねーけど、何だかワクワクする。
「ただいまあ〜」
そう言って、ももが俺の隣へと先に座り、後から美春が席へ座った。
自然、美春と俊が向かい合う形になり、それだけで面白い。
きっと、ももだって気付いている。美春が分かりやすぎるんだ。
恋かあ…やっぱり俺には分かんねーなあ。
それなりに、今まで付き合った事はある。でも、本気で好きだったかと聞かれると、別に好きじゃなかった。
流れでそうなった。が正しい言い方かもしれない。
最低な男の部類に入ると思うが、これも失礼だと思うけど、好きになろうとはした。
可愛いとか思ったりはもちろんする。いろいろ興味だってある。そりゃ、俺だって男だしね。
好きって、何だ?どんな気持ちになるんだ??
「なあなあ、るぅは彼女いねーの!?」
「いない」
好奇心いっぱいな龍雅に対して、俺はサッパリと答えた。
「うおー!!まじで!?仲間じゃねーかあ!!」
「………」
激しく仲間に入りたくねー。
でも、意外だった。顔なんかバッチリ整ってるもんだから、女の方からほっとかないんじゃないか?なんて思う。
「おーし、高校生活充実させるぜー!!どこに居るんだハニーちゃん!!」
「……龍雅うるさい…」
隣の宗太が、呆れたように溜め息混じりに龍雅をなだめる。
………なるほど。やっぱり喋りすぎなんだな。黙ってれば絶対モテるのになあ…。
クスクスと笑う気配がして、隣を見下ろした。
コロコロと鈴を鳴らすように、ももが笑っていた。
その横顔を見ていると、何だかやっぱり胸が疼く。
なんなんだ……胸がまたモヤモヤしてグッとする。
俺、やっぱり可笑しい……。
「ももちゃんは?彼氏いるの?」