**confection**
でも、朝から感じてきた沢山の視線や目線と違い、こいつらの視線は心地よかった。
イライラする事もないし、むしろ居心地が良い。
笑われてる事は何だか納得できないけど(入れすぎただけなのに)気を使ってない感じが良い。
何だか1日でこんなにも沢山友達…?ができて、少し嬉しい自分がいた。
見ず知らずの土地に、右も左も分からない俺は、どっかで寂しさを感じていたのかもしれない。
住み慣れた地元から離れ、気の合う昔からのツレとも離れ、知り合いは歳の離れたこの土地で働く鬼畜兄貴のみ。
それでもめったに会う事もないので、要するに俺は………ひとりぼっち?
都会人に、軽い偏見を持っていたのかもしれない。
ツンケンしてて、他人は他人。自分は自分。そんな冷たいイメージしかなかった。
「食った〜!!食い過ぎたー!!」
「うるせー。少しは落ち着けよ……」
龍雅と宗太を見ていると、兄弟なんかに見えてきた。
そう言えば、あれから美春が大人しい。
そう思い、チラッと隣に視線を向けた。
軽く俯きながらも、頬をほんのりと赤くし、チラチラと前を気にしている様子だ。
対して目の前の俊は、ギャアギャアと騒ぐ龍雅の様子を見ていて、美春の様子に気付いていない。
……ふーん。
あ、余計な事言わないようにしなきゃな。うん。
「俊?でいい?」
「…へ?あ、うん」
「どんな子タイプ?」
うん。やっぱ黙ってれません。
パッと顔を上げた美春が、俺に視線を向けた気配がしたが、すぐに俊に向き直った。
「おー!!俺も聞きてえ!!」
「私も」
まんまと食い付いてきた龍雅は置いといて、意外にも逆隣のももが食い付いてきた。
「俊ちゃんって好きな子のタイプとか想像つかない」