**confection**
misty
「あ〜…ねーむっ」
大きな欠伸を一つすると、目の前が涙で少し歪む。
校門を少し抜けた所で、のんびりと校舎に向かう所だった。
昨日は少し寝るのが遅かった。
早速、予習でもしようと机に向かったが、時間を忘れて打ち込んでしまった。
おかげで睡眠不足だ。
慣れない一人暮らしに、羽を伸ばしすぎて勉強が疎かにならないように。なんて思ってやったのに、睡眠が疎かになてしまった。
まあいい。これからは時間を決めてやろう。
相変わらず沢山の視線を向けられるが、やっぱりその意味が分からないままだった。
俺…何か変?
思わず上から自分の制服を見下ろしてみたが、いたって変わった所はない。
登校初日から続く奇妙な視線にはだいぶ慣れたが、いい気はしない。
思わず眉間に皺が寄ってしまうが、気に止める事もしなかった。
俺は見せ物じゃねー!!
なんて心の中で叫んでみた。
絶対に誰も気付いてくれないけど。
そのまま下駄箱で靴を履き替え、校舎に入って長い階段を登る。
登り切ってもクラスが一番端にあるもんだから、また長い廊下を歩く。
賑やかな廊下を横切る間も、好奇の視線にイライラしながらクラスへと向かった。
もういい。気にすんな俺。
はあ、と溜め息を吐き出しながら、少し長い前髪をかきあげた。
肩に掛けた鞄を掛け直し、沢山の視線の中クラスを目指した。