**confection**
さっきまでももを囲んでいた数人の男子が、自然とももの姿を目で追う。
何も気付かないままの本人は、きっと自分の容姿うんぬんには無頓着なんだろう。
とゆーか、無自覚すぎるんだ。
そんな外野の様子から視線を外し、みんなの集まる場所へと向け、足を踏み出した。
「今日もちっせえな!!」
「これから伸びるしっ」
ももをからかう龍雅の姿は、下心なんて全く感じ取れない。
そんな様子を笑って見ている宗太は、やっぱり龍雅の兄貴みたいだ。
そして、何故か教室の入り口を、しきりに気にする俊が目に入る。
……何かあんのか??
そんな事を思いながら、俊と扉を見比べてみたが、特に変わった様子はなかった。
「今日美春は?」
こっそりと、ももにだけ聞こえるような声でそう言うと、パッと顔を上げたももが、何だか意味深に笑いを堪えたようにして俺に近付く。
な、なんだ?
寄り添うようにして近付いたももが、囁くような声で俺にポツリと言う。
それだけの事なのに、俺の心臓はやたらと暴れ出す。
「きっとビックリするよ。多分そろそろ頑張って来ると思うんだけど」
……頑張って来る?頑張って来るような決心でもしたのか?
「…ふ、ふうーん……??」
そう言って、パッと離れた瞬間、甘い香りがフワリと鼻を掠める。
何かやっぱり…俺、変。
この土地の水が合わないのか?
これは動悸か?息切れか?…俺はじーさんか!!
病院…行こうかな。