**confection**



さっきまでももを囲んでいた数人の男子が、自然とももの姿を目で追う。


何も気付かないままの本人は、きっと自分の容姿うんぬんには無頓着なんだろう。


とゆーか、無自覚すぎるんだ。


そんな外野の様子から視線を外し、みんなの集まる場所へと向け、足を踏み出した。



「今日もちっせえな!!」


「これから伸びるしっ」




ももをからかう龍雅の姿は、下心なんて全く感じ取れない。


そんな様子を笑って見ている宗太は、やっぱり龍雅の兄貴みたいだ。


そして、何故か教室の入り口を、しきりに気にする俊が目に入る。



……何かあんのか??



そんな事を思いながら、俊と扉を見比べてみたが、特に変わった様子はなかった。



「今日美春は?」




こっそりと、ももにだけ聞こえるような声でそう言うと、パッと顔を上げたももが、何だか意味深に笑いを堪えたようにして俺に近付く。



な、なんだ?



寄り添うようにして近付いたももが、囁くような声で俺にポツリと言う。


それだけの事なのに、俺の心臓はやたらと暴れ出す。



「きっとビックリするよ。多分そろそろ頑張って来ると思うんだけど」



……頑張って来る?頑張って来るような決心でもしたのか?


「…ふ、ふうーん……??」



そう言って、パッと離れた瞬間、甘い香りがフワリと鼻を掠める。


何かやっぱり…俺、変。

この土地の水が合わないのか?


これは動悸か?息切れか?…俺はじーさんか!!



病院…行こうかな。
< 39 / 249 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop