**confection**
都内、いや。県内でも1、2位を争う進学校に、今日から俺は通う。
他県から受験するだけでも大変だったのに、ここを選んだ理由があったんだ。
沢山の視線を縫うように、一直線に校舎を目指した。
えーっと、下駄箱下駄箱……。
と思って、クラス表と言うモノを確認していない事に気付き、再び人波に視線を巡らす。
そのとたんに、向けられていた沢山の視線に気付き、思わず怯んだ。
…な、なんだよ。
俺…三年もやってけんのか?大学は田舎の方がいいか?いやいや、大学こそ他県からいろんな人間が集まってくんだよなぁ?う〜ん………。
結論からすると、人混みがダメなんだ。きっとそうだ。
そんな事を考えだし、すぐに視線なんて気にしないまま足を進めた。
目の前には、沢山の人間の頭。
……虫の卵みてえ。
虫の卵のように見えてしまった人混みを掻き分け、掲示板をじっと見て端から自分の名前を探すが、なかなか見当たらない。
はあ〜?俺の名前…ねえんじゃねえの?
5クラス張り出されていた中、もう4クラス確認してしまった。
早く…ここから脱出してえ。
思わず頭をがしがしと掻き分け、最後のクラス表に目を移した。