**confection**
「お〜可愛い可愛い」
「宗ちゃん本当!?」
「まじまじ。すぐ彼氏できそうだなあ」
そんな宗太の計算された言葉に、まんまと反応した人物に、俺は目を見張る。
…へえ〜。
こりゃ時間の問題だろうな。
動揺しているであろう俊が、パチパチと瞬きをしながら美春と宗太を見比べる。
美春可愛い〜けど彼氏すぐできそうって、ええ〜
って感じか?
こりゃ美春に一撃食らわされたな。
俊の負けだ。
そんな意地悪で、きっと悪趣味で勝手な妄想をしていた俺の制服の袖を、再びツンツンと引っ張る人物が居る。
「ねえどうしよう!!俊ちゃん顔赤い!!」
小声で俺だけに聞こえるように言うももが、可愛らしい力でギュウギュウと俺の制服を引っ張り続ける。
俺がどうしようじゃ!!
この息苦しさは、ももに制服を引っ張られているせいではない。
俺の中から、内側から、胸が縮んでるみてえに苦しい。
動悸は激しくなるばかりだし、立ってたらヤバいのかも。
その時、きっとこれが俊にとっては、致命的になる一撃だったんだろうセリフを、龍雅が言葉にした。
「俺!!立候補ー!!な〜んて…」
「ダメだっ!!」
龍雅の言葉を最後まで聞かないまま、被せるように俊が叫ぶ。
「……え?」
笑顔を固めたままの美春が、ポツリと呟く。
そんな美春に対して、俊は一歩前に近付くと、美春だけを見つめて口を開いた。
「俺立候補。美春の事、今一目惚れした」