**confection**
「なあ、幼なじみとしてどーよ」
昼休み、教室の隅っこで固まるいつものメンバーより、少し離れるようにしてバカップルが居る。
冷やかして2人きりにしてみたら、2人とも頬をピンク色なんかに染めて照れるように会話をしている。
俺の言葉に、何の気なしに見上げたももの瞳が、外からの光を受けてキラキラと輝く。
少し黒目がちな、濃い茶の瞳が、そのせいで色素が薄く見える。
「え?うん〜…そりゃ、ちょっと早すぎて心配…だけどね」
苦笑いをしながらも、美春を見つめる瞳は優しい。
「ちくしょー!!いきなり抜け駆けかよお!!!!おし、宗太、ナンパに行くぞ」
「…同級生ナンパしてどーする」
「なら上級生じゃあ〜!!!!」
「…………」
相変わらずな龍雅に、引きずられるようにして教室を後にした宗太が、俺をチラリと見てから、ほんの一瞬、分からないような笑みを見せた。
………。
なんだ……??
今の意味深な笑いは…何なんだ。
「宗ちゃん大変だね。龍雅の家族…お兄ちゃんみたいで……」
確かにそうだな。
そうだけど…さっきのアレは何だ。アレは何か…企んだ含み笑いだ。
思いもよらず、ももと2人きりになってしまい、何故だか急に焦り出す。
はあぁぁぁ……またかよ…何なんだよ。本気で何なんだよ!?
モヤモヤモヤモヤして、気持ちわりーんだよ!!!!
出来るなら、今すぐ開け放たれた窓から身を乗り出し、思い切り叫びたいくらいだ。
「美春…幸せそう」
「…え?」