**confection**
特に話す事もないし(考えてなかっただけ)、とりあえず…出身?あとは…ま、そんくらいでいいか……。
ひとまず無難に、生年月日と血液型(必要なのか?)、そして自分の出身地を話す。
俺の地元は、こことは比べ物にならない程の、ど田舎。
そして、有数の温泉地の中でも名泉と言われ、数ある温泉街の中でも名前は全国的に知れている。
まあ、そこで長年育ってきたからこそ、別にたいした事もないし自慢する程でもない。
何の気なしに言った俺の言葉に、大きな歓声が上がる。
驚いているような、羨ましがっている…ような?
少し戸惑いもしたが、俺にはそんなに驚かれる意味が分からなかった。
予想外すぎる反応に、ここで一瞬ひるむ。
何かいろんな場所から質問を投げかけられているけど…んないっぺんに言われても答えられねえよ。
俺は聖徳太子じゃねえー!!!!
「るぅちゃ〜ん!!仲居さん紹介しろよお〜!!」
「あ?なんだそれ」
「仲居さんってのはなあ、こ〜…宿泊客のお布団を用意したり〜」
「そーゆう意味じゃねえ。そんくらい分かってる」
何故か龍雅の声だけが、クリアに耳に届いた俺。
そんな俺と龍雅の言葉に、再び笑いが起こる。
あ〜もう…めんどくせ。
別に龍雅の事が面倒と言う訳ではないが、面白い物でも見ているようなこの雰囲気が、何となく嫌だ。
一気に興味を示した姿が、何だか俺を損得で見ているようで。
そんな風に見られる覚えなんて、ないのに。
「はい、松風もういいぞ〜。俺にも仲居さん紹介してくれな」
「……あ、そーすね」
どんな担任じゃーい。