**confection**
自分でもバカげていると思うし、理由を考えれば考える程、自分の行動が正しかったのかさえ分からなくなる。
いや、正確には、正しかったのか間違っていたのかなんて、きっと誰にも分からない。
俺自身がそうだから、聞かれた人間になんてもっと分からないだろう。
だから、ももが笑ってくれた事で、少しだけ、間違ってなかったんじゃねえか?と思えた。
俺だったら、そんな話されても呆れてしまうだけだろうから。
だから逆に、笑ってもらった方がありがたかった。
バカだって言ってもらいたかった。
否定され続け、俺の自身の未来を悲観されていた俺は、そんな風に笑って欲しかったんだ。
バカみたいな理由かもしれない。でも。
あいつが見たかった景色を、俺は見てみたかったから。
「でも…」
「ん?」
ポツリと呟いたももが、前を向いたまま言葉を止める。
その横顔に、吸い込まれてしまうんじゃないか、って程に見とれてしまう。
こんなに均等が取れ、まるで宝石でも埋め込めたような大きな瞳が、俺には見えない何かを見ている。
そこからは、どんな景色が見えるんだ。
「るぅちゃんが、そう思わなかったら…きっと出会えなかったんだよね?……なんか凄いね」
思いがけない言葉に、一瞬心臓が大きく跳ねた。
息がつまって、呼吸をするのが億劫な程で、それでも気にとめる事なんてできない程驚いた。
それはまるで、絶対に交わらないと思っていた自分の未来に、初めてその意味と未来とがリンクしたような衝撃。
「神様って居るのかな?なんか、出会わせてもらったみたいじゃない?るぅちゃんがそう思うキッカケとかなかったら…出会えなかったんだもん」
俺の今現在の存在理由。
それが今初めて、意味したような気がした。