**confection**
この出会いに、意味があるのなら…そこにはどんな理由があるのだろう。
分かるのは、きっと神様だけ。
人生で出会える人の数なんて、ごくわずかに限られている。
ましてや、こうして会話して、顔を覚えている奴なんて、死ぬまでに本当に一握りもない世界だ。
そして、そんな世界で出会うのは、奇跡としか言いようがない程の確率だ。
ここでの出会いは、これからの俺の人生に深く関わる時間だろう。
そして反対に、俺と関わった相手にも。
どんな意味があるのか……そんな物、きっと死ぬまで分からないんだろうな。
俺が今ここで存在する理由。
それはきっと、こうして目の前のももに、出会うためでもあるのだろう。
何だか本当に、不思議な感覚で物事を考えていた。
それは、果てしなく莫大に広がる意識の中で、息をして意志を持って生存している事さえ、不思議でたまらないくらいに。
ももは何だ?
お前は一体、何者なんだ?
「え〜、次で最後だな。唯ノ瀬」
担任の声に反応するように、ももが視線を上げる。
「はい」
凛としたその声と、臆すること無い堂々とした表情。
そりゃそうだ。全校生徒の前で、あんな挨拶やってのけたんだ。
これくらい、何て事無いだろう。
そんな考えをよそに、ある思いが膨らむ。
前に向かうももの背中を見つめながら、思わず舌打ちしたくなる。
俺はこんなに、ガキだったのか。