**confection**
「よーし、じゃあ今から男子のタイムを計るぞー。適当に男女ペアになれ〜。あ、男子の方が多いから、誰か女子!!2人分見てやってくれ〜」
昼休みも終わり、ポカポカの日差しの中、グラウンドに腰を下ろして担任を見上げた。
これから行われる持久走のテストは、男女別で行われるらしい。
それぞれペアになり、片方がタイムを取る。そんな簡単な話だ。
でも、こう言う時、一大イベントとばかりに、学生は張り切り出すのがお約束みたいなモンだ。
自然と意識してしまう、ももの存在。
いつものように、いつものメンバー。
俺、宗太、龍雅、俊、そして…もも。
こーゆう場合…どうすれば…。
って俺、相当臆病者。
「るぅはももに計ってもらったら?」
「ん?うん、いいよ」
………え。
俊の言葉に、すんなりと承諾するもも。
俊の提案に少し驚いたが、それはうまく誤魔化し、話の内容を確認する。
俊がももに俺のタイムを計るよう言って…んで、ももは承諾した訳で………。
って、俺の意志は無視か。
いや、むしろ嬉しいんだけど。
宗太と龍雅はと言うと、ちゃっかりペアになる相手をもう見付けている。
……へえ…。
俺と違って、口が上手いなあ。
どうせなら俊も一緒に…と思い口を開けかけた時には、俊は龍雅の元に乱入していたのだった。
龍雅が迷惑そうな顔をしたのは、言うまでもない。
「るぅちゃん、頑張ってね!!」
突然掛けられた声に見下ろすと、なにやら気合いを入れたような顔をしたももが、俺を見上げていた。