**confection**
なんだ…コイツ。
んな堂々と……。
「さとる…?って、え?」
驚いた表情で見上げるももを、なにやら自信に満ちた笑みで見つめる栗本。
同時に、固まる俺。
堂々とそんな突拍子もない事を言いのけたコイツは、相当自分に自信があるのだろう。
そして同じく、俺に対する宣戦布告にも聞こえた。
「そーゆう事で、ちょっと俺の事考えてみて?」
「そっ…そーゆう事って言われても…」
「え?俺本気だよ?」
「いや…そーゆう事でもなく…」
みるみるうちに、顔を赤らめていくもも。
そんな様子に、ようやく俺が解凍される。
…なんでんな赤いんだよ。
内心焦るしかないだけで、何をどう言葉にすればいいかさえ思い浮かばない。
その前に、頭が真っ白になっていく。
周りではザワザワとクラスメートがざわつき、ここで起きている事態になんて誰も気付いていない。
振られた訳ではないのに、俺の胸にぽっかりと穴が空いたように、喪失感でいっぱいになる。
何だかやたらと意識がふわふわとして、立っているのか横になっているのかも分からないようだ。
「じゃあ…俺と付き合えるか付き合えないか。好きか嫌いかで考えてみて」
ももが奪われてしまう。
一瞬にして、そう思った。