**confection**





膝に手を付き、俯いて息を整えた俺は、ゆっくりと体を起こす。


「体力…落ちたなあ…」



「るぅちゃんすんごい汗。風邪引くよ?」



「風邪引く前に…倒れそう」




息もだいぶ整った俺は、そのままグラウンドに腰を下ろす。


チラリとももに視線を向けると、手にはストップウォッチとフェイスタオル。



…あれ…?てゆーか……。



「イガグ…栗本のタイムは?」



「あ!!」




目を大きく見開いたももが、勢い良く振り返る。


つられて視線の先を追うと、タイミング良く栗本がゴールした所だった。


ももではないけれど…内心俺も焦った。


恋敵ではあるかもしれないが、もう一度やり直しなんてなったら、本気で可哀想だし。




「ありがとうるぅちゃん〜…危なかったあ…」



「抜けてるなあ〜。ももは」




眉をハの字にして、ホッと息をついたももに、頬が緩む。


しっかりしてそうで、どっか抜けてて目が離せない。



その抜け方がまたすごいんだけど……。



「私、抜けてる?かなあ…?」



「いや、抜けてるだろう」



「…ま、いいや。栗本君にタイム教えてくるね」




そのまま立ち上がると思っていた俺は、思わず身を固めた。



目の前に差し出された、ももの綺麗な柄のフェイスタオルが差し出され、思わずももとフェイスタオルを見比べてしまう。



「はい、これ使って。汗すんごいから」



「…い、いいって」



「ダーメ」
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