**confection**
そんな俺の言葉に、一瞬にして表情がパアっと明るくなる。
目をキラキラさせて、頬まで赤くさせて、なんと言うか…無邪気すぎるももの顔。
やっぱりプリンには勝てねえなあ〜。
はにかんでしまうようなももの表情に、頬が緩む。
なんてゆーか…。
人を好きになると、見るモノ全てが違って見えてくる。
やたらとももの周りが、明るく色鮮やかに見えて、ももがキラキラして見えるんだ。
今まで無機質に見えていたモノさえも、全てが優しく見える。
ももは俺に、知らなかったモノをたくさん教えてくれる。
そして、忘れてしまったモノも。
「だから、頑張ってこいよ。でも無理だけはすんな」
「うん。行ってくる!!」
大きく笑顔で頷いたももは、足取りも軽くスタートラインへと向かった。
そんな小さな背中を見送りながらも、心配した気持ちが、俺の中で存在を主張していたのだ。
「よーい、スタート!!」
掛け声と共に、握り締めていたストップウォッチをスタートさせた。
目まぐるしく変わるタイムを確認すると、視線を巡らせた。
髪を一つに束ねたももが、息を弾ませて走る様子をすぐに見つけてしまう。
誰よりも小さいもんだから、つい目が行ってしまうと言う理由もあるんだけど。
時間にすると、結構な間が空いてしまう。
何となくやる事もなく、かといってゴールするまでももを目で追いかける程、俺は変態じゃない。
立ち上がり周りを見渡し、俊や宗太、龍雅の元へと足を向けた。