**confection**
いつのまに復活したのか、その後も龍雅は元気だった。
何度か龍雅にからかわれたが、俺は簡単に生返事をして返しただけだ。
少しいろいろと考えたかった。
この気持ちの理由と、俺の本心。希望的な?事を。
諦めがつくなら、もう止めとくべき。
だいたい、ここまで来た理由とかけ離れすぎている。
友達でいいじゃないか。
なに青春くせー事してんだよ。
止めとけ止めとけ。どーせ面倒なだけだ。そうに決まってる。
気持ちを落ち着かせて、答えをまとめていく。
まだ深入りする前に、離れたらいい。
そばにさえ、居なければ…。
諦めた方がいいよな。
「男子、もうじきラストだから、ちゃんとタイムを取る用意をしとけよ〜」
担任の声に、ゆっくり顔を上げた。
いつのまに、そんなに経ったのだろう。
しばらくすると、ゾロゾロとゴールしていく女子たち。
苦しそうな表情の中、ホッとしたような安堵感が混じる。
チラリと視線を外し、ももを探した。
だいぶ苦しそうな表情をしているが、ゴールはもうすぐだ。
鈍足だと思ってたけど、多分…並?
でもやっぱり、何故かももの周りだけ、景色が違って見えるのは気のせいなんだろうか。
なんとなく眺めていたら、ももがゴールした。
しっかりとタイムを取り、腰を上げて肩で息をするももに近付く。
「あ…はあ、はあっ…おつかれ…」
「無理して喋るなよ」
俺に気付いたももが、苦しそうな笑顔を向ける。
ほろ苦い感覚に、苦笑いした。