**confection**
「こ、これからどうする?」
「へっ?」
一瞬言われた意味が分からずに、何とも間抜けな返事しかできなかった。
少し恥ずかしそうに頬を赤く染めたももに、うっ…と詰まる。
無条件に、可愛い。
少したれ目な大きな瞳に、綺麗な鼻筋。ぷっくりと形の良い、柔らかそうなピンク色の唇、白い肌に差す赤み。
……――触れたい。
そう思った。
「るぅは予定ない?大丈夫?」
「うん。特になにも」
グッと衝動的な感覚を飲み込み、何もなかったかのように自然に振る舞う。
俺の考えてる事がももにバレたら、ももはどう思うだろうな。
軽蔑する?
「とりあえず、どっか行く?なんか…」
チラリと周りに視線を向けたももに、この時自分と同じ事を考えていると確信する。
向けられる、視線。
気付いてない訳ねえ。
散々今までも、学校ですら感じてる視線。
それが、今日は男女関係なく向けられている。
女はいい。この際女は。
でも、やらしい目つきでももを見ている男の視線は、許せない。
そんな目でコイツを見てんじゃねえ。
…なんて言えたらどんなに楽か。
「行くぞ」
「え?う、うん」
綺麗に完食したももの手を、無理やり引いた。
その瞬間、驚いて振り返りそうになるのをグッと堪えて足を前に出す。
握り締めたももの手は、予想したよりもずっと小さくて、少し冷たかった。