都市伝説~メリーさん


もうすぐ夜も更ける。 


今日に限って父さんと母さん、弟すら帰って来ない。 

電話をしようと携帯を取り出したがやめた。

死んでも「はやく帰って来てくれ」なんて言えない。そんな事を言えば俺が実は寂しがり屋とか弱虫だとか言われると思ったからだ。


とりあえず誰かが帰ってくるまで自分の部屋に籠もっていようと思った。 


今日も宿題があったんだ。頭を使ってれば余計な事は考えないで済む。そうと決ればはやく宿題を片付けようとノートを開いた。


するとノートには「卑怯者」とノート一面にぎっしりと記されていた。 


(なんなんだよこれ……) 

もう一度ノートを手にとり食い入るように見つめた。 
筆跡はかなりクセのあるようで俺は誰が書いたものなのかがわかった。そいつとは特に親しいわけでもないから携帯番号も知らない。だから自宅に直接電話をかけようと一学期の時にくばられた生徒連絡先表をみてそいつの自宅番号に電話をかけた。 


プルルルルルと電話音が鳴り続けて一分間ほどで奴はでた。



《もしもし、健太か…》


「リョウタ…なぜ俺からの電話だって分かったんだ」 

《あのノートの事で話があるんだろ?まぁ、俺の字って結構濃い…鉛筆の先がよく折れる……その癖はお前が一番よく分かってるもんな》


「リョウタ……なぜ俺たちの秘密を知ってたんだ」


《僕は何もみていない。だけどあの日本当に君たちを目撃した人がいた。そいつから僕は聞いたんだ》


「目撃した奴は誰だ」


《それは言えない》


「なんだと?」


すると受話器の向こうからリョウタがクスリと笑う声が聞こえた。そして奴は続けてこう言った。 


《だって言えば君はそいつを殺すだろ?》
 





< 103 / 116 >

この作品をシェア

pagetop