都市伝説~メリーさん
北乃さんが行方不明になった十二月十七日の日……あの日僕は剣道の試合で携帯を覗く暇なんてなかった。
試合が剣道部の仲間との打ち上げ会が終わって自宅に帰ったのが夜の10時くらいだった。携帯をチェックしたのもその時間だった。
貴文くんからの着信暦が何回もあった。
なんの用かと思った僕は折り返し貴文くんに電話をかけたが留守だった。
次の日に僕は貴文くんに直接訊いてみたが彼の顔色が悪い事に気がついた。
貴文くんだけじゃない。
貴文くんと仲が良かった宏くん、美千留さん、安子さんもどこか暗い表情をしていた。
健太くん…君を除いてね。
それと同時に北乃さんが昨日から行方不明だと言うことを聞いた。
これはきっと何かがあったんだと僕は推測した。君らと北乃さんは仲が良かったからね。
その時点で北乃さんがどこに消えたのか…なぜ行方不明になったのかがまったく分からないままだった。
そして二週間後に北乃さんが遺体で発見された時……これも健太くん、君を除いてだけど貴文くん達はまるで生きた屍のようだった
リョウタは一通り事を言い終えたようだった。
《ここからは先は話せない…君たちの事を教えてくれた人が誰なのかが分かってしまうからね…僕はその人から君たちの真実を聞かされた時に疑問に思っていた全ての事が分かった》
《なぜ、あの日貴文くんは僕へ頻繁に電話をしてきたのだろうか?》
―そしてリョウタの声は急に低くなった―
《君たち僕を犠牲にしようとしただろ》
「なっ……何を根拠にそんな事を……俺は誰でもいいからとにかく誰かを呼び出せと貴文に命令しただけだ!誰かを呼び出すにはお前かメリーしかいなかった!おまえが留守だったからメリーを呼び出した!そして奴は殺されっ―」
《それじゃあ僕は運が良かったんだな。もし僕が留守じゃなかったら…あの時電話にでて呼び出されていたら殺されてたのはメリーじゃなくて僕だった訳だ?》
「それは……」
真実を明らかにされた健太はコレ以上何も言い返せなかった。