都市伝説~メリーさん
するとキタノソウジは「いいんです。話してもらえませんか?」と返した
「キタノさん………」
北島はため息をついて申し訳なくしていた。北島は仕事面については非常に真面目だが優しすぎるのが欠点である。捜査にやさしい情や思いやり…配慮は邪魔なだけなのだ。
私は話を続けた。
「共通点は殺され方です。みんなえらく酷い殺され方をされてますな」
手先を首筋にあてながら私はキタノソウジに伝えた。
「犯人は…何か手がかりはみつかりましたか?」 キタノソウジは訊いた。
「いいえ…何も。ですが犯人は未だにこの付近で何食わぬ顔で普通に生活している可能性が高い」
「それは分かってます。案外ご近所さんかもしれません。それに、芽衣を殺した犯人だけの問題ではないと思うんです。絶対に誰かが絡んでると思うんです」
「それは、我々がこれから調べます」
するとキタノソウジはクスリと笑った。だがその笑いは怒りに満ちてるようだったのだ。
「刑事さん。うちの芽衣も含め七人も殺されているんですよ。警察は本当に市民を護っていますか?」
私たちは言葉がつまり何も言うことが出来なかった。
だがこれだけは今日聞いておきたいとキタノソウジに訊いてみた。
「ちょっとお訊きしたいのですが娘さんが行方不明になった時ですが急いで芽衣さんは家を飛び出したようですね。どこへ出かけたのか本当にご存知ないですか?」
「友達に呼ばれた事としか分かりません。あの子は物静かな子で学校の友達と遊ぶ事なんて滅多にありませんから」
「その友達は誰なのか分かりませんか?」
「分かりません。私も仕事の方が忙しくて…」
するとキタノソウジは何かを思い出したようだった。
あっという表情をみせ再び話をしはじめた。
「一度だけ、少しだけみた事はあります。あの子がクラスの子を家に招くなんて珍しいから」
「その友達は……?」
「名前は知りません。ですが五人くらい。男の子と女の子」
「そうですか、分かりました。いきなり訪問して申し訳ないですね。ありがとうございました」私は立ち上がり古賀と供に直ぐに北乃家から出ていった。