-アンビバレント-
うん、と清音が静かに頷く。
「まずい、っていうか…自業自得なんだけど。 軽蔑…されるかな、と思って」
「何でさ?」
「浮気……になるから」
「浮気?」
「うん…隆也、前の彼女と自然消滅みたいになったけど、ちゃんと別れられてないんだって。 だから」
そういえば。
隆也には彼女がいたようないなかったような。
「その事は、隆也が悪いよ。 それでゴタゴタになったとしても、アイツの責任だ」
「でも、あたしもそれを知ってて告白したの。 もしフラれたら、気まずくなるから、バンドも抜けるつもりだった。
だから、みんなにも知られたくなかったの。 あたし、卑怯だから。 そういう人間なの」
清音は、泣きながら話しだした。