-アンビバレント-
「うん、ありがと…」
何に対しての「ありがと」なのか
自分で言ったくせに分かんなかったけど
きっと「ちゃんと仲良しメンバー装ってくれて」のありがとうだと思った。
「オレらさ…またやり直せねぇかな」
「………え?」
一秒が百倍ぐらいに思えた。
なんか……言わなきゃ。
「でも…」
「でも何?」
実流のせいであたしは何も言えなくなってしまった。
いっつもこうなんだ、実流は。
相手に有無を言わせない。
「無理だよ……」
「なんで?」
寂しくも悲しくもないのに
あたしの目からはポロポロと涙が溢れた。